広場をとおりかかったら、なんだかものすごおく
いまにも吐きそう…!っていう感じの人がいた
周りには他に人もいなかったし、何となく放っておくのもはばかられて
思い切って、声をかけてみた
長い黒髪のおにいさんは、サシアンさんという人で
どうやら、森で育って暮らしていたため、人の多いところは苦手らしかった
それなのに、夕方のタイムセールでにぎわう通りを歩いてきてしまったから
人酔い…っていうのかな?
気持ち悪くなってしまったみたい
わたしも人ごみはちょっと苦手
でも、気持ち悪くなるほどではないから、びっくりした
井戸でお水を汲んできたら、少し落ち着いたようで安心
サシアンさんは、お怪我をして狩りが一人では上手くできなくなったらしい
後遺症…っていうのかな?
だから、街の商人やそういったものを頼らないといけないみたいだ
何かお手伝いができるかどうか聞いてみたら、「おもしろい子」って言われてしまった
……そっかな?
色々お話をしたけれど
サシアンさんも、わたしも、結構臆病な性質なんだなとわかった
わたしは、たとえば人に嫌な顔をされないようにがんばって振舞ってしまったり
そういった風に、悲しいことに出会わないようにして逃げているけれど
サシアンさんは、人に嫌な顔をされてもそれが悲しいことじゃないって
…なんていえば良いのかな?
心の痛いのを、見ないことにして平気だって、無かったことにしてしまう形で逃げているみたいだ
もちろん、どちらがいい悪いなんてないのだろうけど
ちょっと考えさせられてしまう気がした
【繁華街の噴水広場:サシアン】
だいたい半月ほど放置しちゃったよ!
うん、……まあ、色々あった。
と、日記を纏めてしまうのもあれなので、ちょっとは書いておこうかな。
港町でチシカさんにあった
チシカさんは、ダークエルフじゃなくて人の姿になっていた
黒いりんごをもらった
……うん、何があったのかは教えてくれなかった、かな。
夜の公園で、幽霊に間違えられた。
クロさんに退治されかけて、チェルシーさんにぺたぺたされて
カリバーンさんにハンカチをお借りした
夜の公園は、ミラクルと不思議が一杯だった
おトイレががたがたする理由ってポルターガイストだよね?
ぽんぽんを持った腕が突き出てきて、即死魔法とかをかけちゃうんだよね?
酒場にワインを買いにいったら、ヴォルトさん(ヴォルトネイルさん)とであった
なんだか、一人で慣れないらしいワインを飲んでいたから、何かあったのかとおもった
…この国のものがのみたかったんだって
大人の人が悩んでるときって、如何すれば良いのかわかんなくなる
言いたいことやしてあげたいことは一杯ありそうだけれど
でも、子どもがそんなことしたら、失礼にならないかな?って
だから、いつも如何しようかなって考えている
……うーん、半月ぐらいかけてこんだけ、かな?
あと、1,2回くらい書くことありそうだけどー
まあ、いいかな。
先週あたり、オボンと呼ばれる時期の出来事
サウスエルム家では、ちょっとだけ不思議な出来事があった
うちでは、昔…といっても4年くらいまえかな?
黄色い小鳥を飼っていたことがある
頬に赤いしるしの付いた小鳥で、頭が小さい割にはそこそこ賢く
ネコが鳥かごの真横で眠っていても、その尻尾の毛をつついて遊ぶような
どこか、肝の据わった鳥だった
なんとなく、実は最近サウスエルム家は色々会って忙しい
そんなときに、お掃除をしていたら
もうとっくに、この世を去っているはずなのに
もう何度もその場所を掃除したというのに
小さな黄色い羽根が一枚、部屋のまんなかに落ちていた
ちょっと忙しくて大変そうだからと、小鳥が見に来てくれたんだなあと
おとうさんと一緒に、なんとなくしんみりしてみた
オボンって本当に、かえってくるんだなあ…みたいな
真夏の、サウスエルム家のちょっと不思議な出来事でした
なんか色々あって、微妙にがぁらに出るのがまちまちっ
「色々会ったけど、わたしは元気です」っていうのは、どこの文句でしたか…
わたしは元気ですっ!
森で、サガさんていう人形師の人に出会った。
どうやら、小さくてもリアリティあふれた人形を作るのを身上としているみたい。
…厳密に言うと、目標は、亡くしてしまった大切な人を人形としてよみがえらせたいみたい。
口には出せなかったけれど、いつか、望むような人形を作った後
行き着いた先には、どんな気持ちが待ってるのだろうか。
サガさんは、わたしをモデルにした人形を作るのを思いついたらしい。
体や髪をぺたぺた触りたがっていたけれど、頭だけ。
自分がお人形のモデルになるのは、ちょっと不思議な感じがする。
恥ずかしいような、ちょっと嬉しいような。
普通の女の子は嫌がるといっていたけれど、わたしが嫌とは思わないのは
なんとなく、自分が生きていたことが世界に残るような気がしたから
明日の命の保障がないなんて、思ってしまうのはちょっとアレかなと思うんだけれど
冒険者って、そういうものなんだとおもう
別の日に、森でランガさんと、チェックさんに出会った
水を汲みにいったら、ランガさんとチェックさんがお話をしていて
わたしは、ついうっかりと早とちりをして、お二人がデートの最中かと思っちゃった
すぐに違うって教えてもらって、誤解はとけたのだけれど
蛍が居る川辺での夜のデートって、結構ロマンチックかななんて、思っちゃうかも。
チェックさんは、女の子大歓迎で、でもお酒を前日に飲みすぎていて、二日酔いらしい
……年をとると、二日酔いの後はとてもアルコール臭いらしいのだけれど
でも、チェックさんはそんなに年をとってるっていう感じはしなかったけどな
ええと、記録をとる習慣がないから、こんな感じ…かな?
た、たぶんっ
入院中、病院の廊下から誰かが話している声が聞こえた
そっと覗いてみたら、ルドゥ君がいた
おばけとかではなくて良かったと話していたら、入院中だというフルールさんにお会いした
フルールさんは、お病気で入院中。
髪に挿した花は、お父さんが前日くれたお見舞いのお花なんだって。
わたしが一緒に入院している四階にお部屋があるらしい。
ルドゥ君と一緒にフルールさんをお部屋へ送りに行くことになったのだけれど
そこで、わたしはちょっとしたことを思い出してしまった
昨日看護婦さんとお話をしていたときに聞いた、数年前亡くなった「フルール」というお名前の女の子の話
お父さんがくれた銀色の花にとても喜んで
でも、その次の日になくなってしまったんだって…
フルールさんという名前は、とても珍しい名前なのかはわからない
もしかしたら、ジョンとかジャックみたいに幾人も同じ名前でもおかしくないのかもしれない
けど、なんだか気になって、その場ではいったん別れてお医者さんのところへ向かった
数年前に亡くなったフルールさんは、今日であったフルールさんと瓜二つだった
わたしは、少し迷ったけれども、その足で病院を抜け出して、フルールさんが葬られたというお墓へと向かった
今日は、オボンと呼ばれる時期に重なる
それは、死んだ人の魂が戻ってくる日だって、東では信じられている
だから…もしかして、フルールさんへのお花が残っているかもしれない
そして想像通り、フルールさんのおとうさんは今年のこの日にもフルールさんのお墓に銀色のお花を手向けてくれていた
それを持って、病院へもどった
ルドゥくんとフルールさんは、どこにもいなくて、あちこち探してしまったけれど
最後に、二人が屋上に居るのを見つけることができた
どうやら、フルールさんはルドゥ君と一緒に「自分が死んでいる」ということに気が付いたところのようだった
真実に気づいてしまったフルールさんは、もうこの世界にはいられない
だから、消え行くところだった
フルールさんにお花を上げて
ルドゥ君が、フルールさんの髪に花を飾って
そして二人でフルールさんが星空に消えて行くのを見送った
その途中、フルールさんがルドゥ君のほっぺたにキスをしたのもばっちり見てしまったけれど
あんまり言うと、怒られそうだから、いわない
おとうさんは命はめぐって、また生まれてくるという
次にであったときに、私たちはきっとフルールさんだとわからないだろう
けれど、真実は時の娘だっておとうさんは言う
だからいつか、フルールさんだったんだね!って驚いて笑う、そんな日だってくるはずだ
次は、一緒に冒険をしたい
……うん、もちろん、ルドゥ君と二人っきりになりたいときは気を利かせるけれどね
なんちて
【病院:ルドゥ★白花の少女(フルール)】
銀の花の冠をいただいた
【ステータス】
治りかけ。