都のバザール：裏路地に鳥

おとうさんからの許可が下りて、がぁらの街中に自由にでられるようになって一年
ようやく
ようやくと、まともに記録の水晶を作動させることができました！
いつも、大体気づくと手遅れになっているんです……

記録の水晶をとりあえず日記帳に貼り付けてみる
こういうのって、みんなどうやって覚えているんだろう…
手探り？本能？誰か先生とかいるのかなあ……

とりあえず、日記
宿で、そろそろ夜ご飯だなって…何を食べようかなって考えていたら
なにやら、窓のほうから声が聞こえた
厳密に言うと、窓の下、細い路地のほうから声がする
あまり、治安が良くないってきいてるから、そっと覗き込んでみた
そうしたら、そこにはジェイさんが綺麗な鳥と一緒に居た
 

鳥の名前はジュリアさん、なんと人語を解するスペシャルバード
…っていうと、大げさかな？
ジェイさんの使い魔の一羽らしい
少しだけお話をすることができたけれど、なんだかレディだった

こないだなんて、トサカが寝癖で立ってるっていうのを指摘したジェイさんを
怒って、電気でアフロにしてしまったらしい
女性の扱いは注意！…かな？

ジェイさんは、お名前からしてこちらの人かなって思っていたら
実は、東の人だったらしい
本名は、ジエーさん。クルスジエーさん、っていうらしい
漢字で書いたお名前も教えてもらったんだけれど、意味しか覚えていない
慈愛が栄えるように、だったかな？
東は、単語ではなく文字自体に意味があるからすごいと思う

昨日に引き続き、話題は料理と、それから友達について
ジェイさんは、お料理が好きなんだって
でも、今は片腕しかないから難しいらしいけれど…
ことこと煮込むスープについて、ちょっと二人で熱く語ってしまった
……どうしよう、煮込み料理が作りたくなった

ジェイさんは、わたしと友達だと言ってくれる
命の危険があっても一緒に戦ってくれるんだと、言ってくれた

ジェイさんの友達を、わたしは昔、死なせてしまっている
ジェイさんもそれを知っているのに、そういってくれる
本当に、わたしに対して恨めしいとか憎らしいとか
そういう気持ちを抱かないのかって言うのは、ちょっとだけ気になった
でも、それと同時に、わたしがずうっと疑っていたら、申し訳ないという気持ちにもなる
誠意には誠意を返したい

そもそもにおいて、わたしの周りの人は少し優しい人が多い
何かを返したいと思うけれど、なかなか上手くはゆかないものだ

ジェイさんに、東のお料理を教わった
次に一人で作るときに、美味しく作れたらいいなあ

【都のバザール：ジェイ】