聖堂でお祈りをするときに、神様では無い人を感じるのは、わたしだけではないらしい
アルマンドールさんは、昔になくなったおかあさんを思うらしい
そして、今どんな顔かが見えるのですって
つまり、健やかなときは嬉しそうに
ちょっと不健康なことをした後は、呆れたみたいに
…今、こちらをみて亡くなった人はどう思っているのだろうか
願わくば、安らいでいてほしいなあ
なんとなく、そんなことを考えてしまった
アルマンドールさんは、以前売ったものの修理を引き受けていたらしい
それは、金の隠しロケットになっているロザリオ
…ロケットなんていっても、飛び出すアレではない
蓋がついていて、小さな肖像がとか何か入れられるアレだ
アルマンドールさんは、そうやって心に秘める大事なものがあるのが羨ましいみたいなことを言っていた
神様に祈るときに、このロザリオを持っているひとは
神様と同時に、別の人の姿…もしかしたら人ではないかもしれないけれど…を感じるのだろう
それが、もしかしたら悲しい思い出だったかもしれないけれど。
なんとなく流れで、昨晩であった絵描きのヨハンさんについてのお話をした
といっても、短い話だったけれど
昨晩なくなった人が居て、その人が絵を書いていたこと
書き残した絵のこと
それをみんな聞き終わってから、アルマンドールさんはわたしにひとつ提案した
それは、全てを穏やかに思い出せるようになったら
彼が書いた絵を使って、手鏡をつくるのはどうか…ということ
静かに、穏やかに思い出せるようになったら、アルマンドールさんの言葉にそうことにした
帰り、少しお祈りをしてから、アルマンドールさんと職人のところへゆく
毎回、アルマンドールさんが無茶なことを頼んで
ぶうぶう文句を言うけれど、やりごたえのある仕事を望んでいる人らしい
以前、わたしがアルマンドールさんへ渡したものでオルゴールを作ったらしい
それを見せてもらうことができた
曲名は、「ただ一度だけ」
【山頂の大聖堂:アルマンドール】
【ステータス】
治りかけ。