いま、がぁらの街ではいくつか動きが起こってる。
一つは、もちろん禁獣を倒すということ。
そして他は、茨をなんとかすることや、ボトルフの人たちの住む最果ての地を豊かにする方法や
古代魔法王国時代の因縁を調べる動きだ。
正直、頭は良くないと思う。
でも、植物のことなら、少しだけ昔から叩き込まれているものだから分かるかもしれない。
結局、戦争中は茨を良く見たりする暇もなかったから。
一度良く見てみようとおもって、森に出かけた。
まあ、結論は「よくわからない」だった。
わたしが今までみていた茨とは違う、それくらいしか分からなかった。
そうしていたら、アベルさんとオイフェさんと会った。
アベルさんは無事で、オイフェさんは両腕を失っていた。
それでも、いつもと変わらないものすごいテンションのオイフェさんに、少しほっとした。
なんだろう、オイフェさんがしょげ返ることがあったら、それこそ駄目なきがしたから。
オイフェさんの義手を注文する代筆を引き受けた。
下僕とかいわれてたけど、いつもの通り、オイフェさん流の冗談のはずだ。
勇者バッチと、オイフェさんの危機に駆けつける権利までもらった。
駆けつけられて、そして助けられるほど、わたしも強くなれたらいいと思う。
アベルさんからみたら、わたしはまだ戦争をしているみたいらしい。
肩の力を抜いてもいいんじゃないかって、言われた。
そうかもしれない。もう、義勇軍の必要はないから。
でも、難しいよねって言う話をした。
アベルさんにご飯を奢ってもらった。
前に、わたしにココアを奢ったとき、ものすごい顔してたのに。
でも、奢ってくれた。
うん、とてもおいしかった。ちょっと泣けちゃうくらい。
【エルフの森:アベル★オイフェ】
街をうろつきながら、おなかが空いたし冷えてきたので、酒場に入ってみた
酒場は、ちょっとぼろぼろだったけれど、新年の飾り(異国のものらしい)も飾ってあった
少しだけ、ほっとした
なんだか、この国がどんな風になっても変わらないように感じたから
でも、異国の飾りは色々、まちがってるらしい
どうまちがっていたんだろう?
馬がつないであるのは、駄目っぽいけど…
酒場でも、やっぱりボトルフの話や、禁獣の話しでもちきりだった。
その場に居合わせた人たちは、わたしも含めて、そんな話しばかりは嫌で、明るい話題をさがしてた。
居合わせた人たちの中に、ロッカードさんというダンサーの人がいて、皆で一緒に踊ることにした。
ロッカードさんが言うには、ダンスっていうのは心が動くように体を動かすだけでいいらしい。
実際に、リューコさんの歌に合わせて踊ってみた。
馬鹿みたいに楽しかった。
怪我してて、動くといたいのだけど、そんなの気にしないで踊ってみた。
踊り、だったのかは分からない。
ただ、やりたいように跳んで跳ねて、回ったりした。
すごく、すごく楽しかった。
少しだけでも、この町の空気が明るくなった気がして
ちょっとだけ、救われた気持ちにもなった。
楽しかったな。
【冒険者の酒場:ロッカード★チドリ★サフォー★セラ★リューコ】
街が良く見えるからお気に入りだった、長い階段へ向かった。
正直、体が痛くてすごいしんどかった。
でも、今のがぁらを見ておきたかった。
自分にはっぱをかける感じかな、そうしておきたかった。
街は、暗くなっていた。雰囲気がそうというわけじゃない。
人がいないから、家が壊れていて、船が出ないから、灯りがなくて暗かった。
そんながぁらを見ていたら、知っている人たちに会った。
ダークエルフを一緒に倒したシュテファンさんや、シェリーさん、イニフィさんに、ブラッドさん。
なんだか、暗い街に暗く沈んでしまいそうだったけど
皆で集まってわいわいしていたら、少し明るくなった気がした。
わたしが、居なくなっていたこと。いろんな人が知っているみたいだった。
軍にいたら、情報は回るのは当然だろうけれど。
でも、あのときのことを思い出して、説明するのはなんだかすごい難しかった。
だから、イニフィさんの言葉に上手く応えられなくて、申し訳なかった。
ただ、胸がつまる。
皆、心配してくれていた。心配されるたびに、心が苦しくなる。
シュテファンさんや、イニフィさん、ブラッドさん、それにシェリーさんだってわたしにちょっと気を使ってくれた気がした。
あんまり、暗い顔もしたくないな。
それにしても、シュテファンさんのジェントル具合は以前より磨きがかかっていた。
なんとなく、人間として見習いたいところではあるかもしれない。
家に、イニフィさんとブラッドさんを泊める。
アザミさんへ、贈るドレスを皆で縫った。
届くといいな。
【心臓破りの坂と喫茶店:シュテファン★イニフィ★シェリー★ブラッド】
結局、大怪我をしたのはどうあがいても変わりがないので、聖堂へ行った。
トウカさんが言うには、神官医師さまがいるらしい。
治療が終わって、かといってあの坂道を歩いて下ってゆくのはしんどかったので
しばらく、長いすでぼんやりしていたら、色々な人にあった。
リッキーさんは、人を名前そのままで呼ぶのが苦手らしい。
砂漠のほうの、習慣なのかな?だから、愛称のリーカと呼んでもらうことにした。
なんとなく、年上の人にねーさんって呼ばれるのは、ちょっと気恥ずかしいから。
チドリさんは、遠くからきた旅人みたい。
よく、厳密には覚えてないけど、砂漠をこえて更に遠い国だった。
緑色の石と、魔法の道具の帽子をもらった。
魔法の道具の帽子の効果で頭にたんぽぽがさいたけど。
怪我が治るのが早まるし、人がわらってくれるなら、それでもいいかな。
スティールさんは、聖堂の修理をしていた。
頭にはえたタンポポを指差して大爆笑したのは、どうかとおもう。
でも、知り合いが生きててよかった。
聖堂、はやくなおるといいな。
ヴィオルドさんは、特製シチューで聖堂の配給をしていた。
今、聖堂では色々な人が避難しにきているみたいだった。
体を温めて、体力を回復する薬草シチュー、レシピを教えてもらった。
……温かい食べ物は、なんとなく今でも食べるとちょっと泣きそうだ。
戦いの後、寝てしまっていたから、知らなかったけれど
今、がぁらの街には禁獣という魔物がうろついているらしかった
世界は、滅びなかった
でも、明るいものを未来に受け継ぎたいって、決めたから
この状況をほうってはおけないなって…そう思う。
【山頂の大聖堂:リッキー★チドリ★ヴィオルド★スティール】
戦争が終わった。
結局、色々ありすぎて戦争の日記はかけなかった。
(1日目も2日目も居なかった上、3日目は終わった時それどころじゃなかったし)
正直なとこ、色々とありすぎて、わたしのなかで日記の形で整理できなかったのもある。
わたしを助けるために、アッシュさんとリックさんが死んだ。
アブサンさんと、シャンパネルラさんとスプライトフさんも死んだ。
一緒に戦ったバクシュさんも死んだ。
こんなにたくさんの人が死ぬのは、初めてみた。
一つ一つの分かれに、思うことも、考えることも、背負うこともある。
それを、納得できる形で背負えないけど。
死んだ人たちを思い出になんて、爽やかになんてなれないけど。
生き残りたいと、これほど思ったこともなかった。
後ろ向きになるのも、泣くのも、生き延びてがぁらをまた取り戻すまでは、おあずけにしよう。
全部が終わったら、墓場に花を添えに行こう。
……正直、そうして膝に力をいれないと泣き崩れてへこたれそうな自分が、弱いなと思う。
難しいな。どうすればいいんだろう。
【ステータス】
治りかけ。