【冒険者の酒場】伝えることと受け取ること

迷宮で凍った手
感覚はあるから、動かないとかそういうわけじゃないけれど
でも、とければ無事ってことではない
まあ、さっくりというと結構手痛い凍傷だ

包帯でぐるぐるまきにされて、ミトンみたいになった
…こうなると、やることはただ一つ
人差し指と小指の付け根のところに目をかいて
いわゆるところの「ホワイトスネーク」にするしかない！

なんて、おバカなことを酒場でやっていたら
ヒイナさん、マールファさん、ゲフさん、セタンサさん、シリウスさん、オイフェさんと出会った

ヒイナさんの様子が変だった
なんだか、記憶が５日間ほどぬけてるらしい
小さい頃人を殺してしまったとか、なんとか……
なんだか、容量を得ないというか、いっぱいいっぱいになっているみたいだ
頭痛がするから、お薬を飲んでいるみたい
…大丈夫かなあ

ダークエルフの話に少しなった
ヒイナさんは、良いダークエルフもいたら…という話をしていた
正直、プラムさんのようなダークエルフからエルフになった状況を知る身としてはそれはあると答えるしかない
でも、その油断を抜け目なく付いてくる気がする
ダークエルフとはそれくらいのことはきっとやると変な確信がある
……すこしだけ、そういう話を聞くと不安になる

マールファさんも、その話を聞くと不安になるタイプみたいだ
でも、それは「ダークエルフで苦しんでいる人たちを助けてくれないのかな？」って少し思ってしまうかららしい
もちろん、ヒイナさんがそういう意図で言っているわけではないとはわかる
ダークエルフの中にも例外がいるかもしれないってことで…
……でも、もしわたしに戦うという選択肢がなかったら…？
どうだろう、少し不安になってしまった

うん、以前ハレさんという人に言われた通り
種族で人を忌むこと、を許容するということは
わたしがハーフエルフであるからという理由で嫌悪されることを許容することになるのだけれど
やはり、ダークエルフは恐ろしいと思う
だからわたしは、それを許容するのだろう

ゲフさんとマールファさんが、なんだか好きとか嫌いのおはなしになっていた
最初はマールファさんの宿に泊まるというお話が、泊らないという話になったみたいだ
売り言葉と買い言葉はあっただろうけれど
マールファさんは、本当は嫌いっていっても別に嫌悪しているわけではないとは思ったし
ゲフさんも、マールファさんの宿を思って身を引いたみたいだった
こういうときに、言葉は物足りないと思う

ゲフさんと、好きと嫌いの会話をして、なんとなくわかったのは
好きと嫌い、その言葉って単純だけれど人によって受け止め方は違うんだね
リンゴといって、青いリンゴと赤いリンゴを思い浮かぶ人がそれぞれいるみたいに
相手へ、どうすれば正しく伝わるだろう
そう思うと、時間というのはとても短い

セタンサさんが、ゲフさんの記憶の水晶をなんだかいじってみたり
ヒイナさんが興味津々だったりした

シリウスさんに、お茶をおごっていただいた
冬の星の人
…あれ、どっかで名前を聞いたことがあったような、まあ…いっか

【冒険者の酒場：ヒイナ★マールファ★ゲフ★セタンサ★シリウス★オイフェ】